違う価値観との付き合い方

新型コロナの影響で、生活スタイルが変わったという方が多いと思います。それに伴い、今までは特に話題や問題にならなかったことが、摩擦となることも生じているようです。

最近、電話相談によるカウンセリングで、次のようなご相談がありました。


「パートナーの手の洗い方が、気になって仕方がない」という、パートナーのいる方からの相談です。

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相談者さんはハンドソープをつかって、指先、爪、手首まで、念入りに洗うのに対して、
「相手は、外から帰ってきても、せいぜい、水で洗うくらいで、言わなければ、それもしないことがある」「『ちゃんと洗って』というと、『うんうん』『わかった』と言うものの、 やる気はないことは明らかで、あとで、逆にコロナは恐れなくてもよいというような記事を メールで送ってくる、どうすればいいか」というものでした。


相談では、新型コロナへの恐怖感や、パートナーに対する不満などを傾聴することで、「少し、すっきりしました」ということで終えることになりましたが、この方以外でも同様の相談が複数ありました。

これらは新型コロナウイルスに対する価値観の違い、つまり「コロナ観」の違いからくるものではないでしょうか。

「コロナ観」の違い

人の行動の奥底にあるものとして、価値観があります。価値観とは「その人のさまざまな評価の軸、根底となる、ものの見方」を指しています。そして、私たちは、人生観や職業観、恋愛観、家族観など、私たちを取り巻く環境に対してそれぞれの価値観を
つくりだします。

今回の新型コロナウィルスに遭遇した私たちは、それまでのいろいろな価値観と相まって、それぞれの「コロナ観」がつくり上げられているように思います。そしてそれは、それぞれの自粛や予防に対する考え方や言動などに表れています。

さらに、人は、自分に関心がある情報を取り入れる傾向があり、この傾向を認知心理学という学問では、「選択的注意」 という 概念(見たいものを見てしまう人の特性)で説明しています。

コロナに対してより慎重な考え方を持つ方は、コロナの恐ろしさを紹介したニュースに、より注目するかもしれません。 また、楽観的な方は、逆のニュース記事に関心が向くでしょう。特に、新型コロナは、まだまだわかっていないことが多いので、 選択的注意が入り込む余地が大きいとも言えそうです。

自分が取り入れた情報によって、私たちの「コロナ観」は、ますます強固な価値観となっていきます。 そしてそれは、今回のご相談者さんの手洗いなどの考え方、パートナーとの行動の違いとなって現れます。

その人の中で、つくられた「コロナ観」は、他の人に言われても、おいそれとは変わらず、こちらの考えがいくら正しいと思っても、相手にしてみれば、押し付けと感じるかもしれません。それが、お互いの摩擦、ストレスに発展するということになります。

違う価値観と付き合う 

違う価値観を持つ人と付き合っていくために大切なことは、2つです。1067334_s.jpg

 ・相手を否定せずに、「あの人はそういう考え方をするんだなあ」受け止める
 ・みんなそれぞれの価値観を持っている、と理解する 

「それは間違っている!」と否定して自分の意見を主張するだけではなく、 「どうしてそう思うのか?」と相手に興味を持って聞いてみてください。 そうすることで、自分の価値観が広がったり、相手のことをさらによく理解するきっかけになるでしょう。また、自分の価値観と相手の価値観の「落としどころ」が見つかるかもしれません。

これからの「コロナ観」

私たちが、価値観が違う多くの人と付き合っていけているのは、共同生活を行う上での、最低限の価値観が共有できているということがあります。それが、常識だったり、マナーだったりするのでしょう。 新型コロナはまだ私たちにとって、新しい世界なので、「最低限の価値観」がまだ出来上がっていないとも言えます。

ただ、新型コロナの実態も徐々に明らかになりつつあり、その感染率や致死率の高さや、予防における手洗いやマスクの有効性が実証されていく中で、今回の新型コロナだけでなく、感染症というものに対する考え方、スタンスが社会の中で、共有されてくるのではないかと思います。

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